東京路地ランキング

文化遺産として残しておきたい路地をランキングしてみました

目白文化村+トキワ荘(2013年2月)

「目白文化村」、ご存知ですか。通称、目白ビバリーヒルズとも呼ばれ、今からちょうど90年前の分譲当時、人気でも価格でも、田園調布をはるかに凌ぐ郊外型の超高級住宅地でした。電気、ガス、水道は地下埋設され、下水溝は御影石、土台は大谷石という、なんとも贅沢な造りでした。大きな洋館が立ち並び、クラブハウスでは、映画やコンサートが度々行われていたそうです。隣接地にアトリエを構えた、大好きな画家佐伯祐三は、このあたりの風景を描いた作品をたくさん残しています。

その後、都市計画で環6と新目白通りが住宅地を縦横に横切り、また戦火にもあって、街のほとんどが壊れてしまいました。そこで、大正ロマンの街並みが完全消滅する前に、見ておきたいと思い、出かけてきました。

文化村は、目白通りにある老舗の油屋さんの横道から入ります。それにしても、目白通り沿いにはキリスト教会がたくさんあります。東京カテドラル、目白聖公会、目白教会、聖母病院のチャペルといった大教会だけでなく、小さな町教会があちこちに点在していました。なぜだかわかりませんが、街の雰囲気にはマッチしているので、いいでしょう。

文化村は、たいした期待もしてはいませんでしたが、予想したとおりといいますか、当時の面影を残した街並みには出会えませんでした。それでも、ほんの少しですが、住宅や土台などに、その痕跡は残っていました。こうなると、想像力の世界ですね。

ということで、目白通りをはさんで北側の「南長崎通り」に場所を変えました。この通り、地元の人たちは、「ニコニコ商店街」と呼びます。それが、漫画の聖地をPRするプロジェクトが発足してからは、「トキワ荘通り」の名前も通りに冠されています。なんとも複雑です。考えてみれば、通りの名前くらいは、行政が付ける無味乾燥な名前でなく、地元住民の創意で決めた名前を正式名にしてほしいと思います。

ドイツでは、どんなに小さな道にも、名前が付いています。名前を付けることによって、すべての道が個性を持つことになります。そうすれば、住民も道に愛着を持ちます。たかが道、されど道なのです。

そのトキワ荘通りは、言うまでもありませんが、トキワ荘があったところです。当時は、トキワ荘の手塚治虫さんが、斜向かいの紫雲荘の赤塚不二夫さんと、窓を開けて声を掛け合っていました。おそらく、「そろそろ、松葉にラーメンでも食べに行こうよ」みたいな会話だったそうです。近所のくだもの屋のご主人が立ち話でそう言っていました。
紫雲荘には、今でも漫画家たちが住んでいますが、そのひとり、桐木憲一さんの『東京シャッターガール』というコミック本が人気です。写真部に属する女子高生が、街を歩きながら、出会った人々と触れ合い、情感のこもった風景をフィルムに切り取っていくというストーリーです。手塚漫画はよく音楽が聴こえてくるといわれますが、『東京シャッターガール』からも、実在する街の空気、風や匂い、ざわめきや騒音、そして住まう人々の温かさが感じられます。

「写ガール」が一過性のブームでなく、定着しつつある今日この頃です。さしずめ、私は「写爺(シャジー)」でしょうか。

ところで、くだもの屋のご主人が、「昔はこの商店街はすごく活気があったのに、大型店が進出したり、跡継ぎが減ってしまい、だんだん寂れてきた」と言っていました。どこの商店街にもいえることでしょうが、ますます知恵と熱意が試される時代です。こういうときこそ、どうすれば儲かるかではなく、どうすればお客様が喜んでくれるのか、お客様第一の発想に立ち返るべきだと思います。

rojist



「目白文化村」は日本最大最高級の住宅地だった(当時、山手通りも7号線もなかった)




入口は、目白通りの老舗油屋の横道にあった
「そこ、昔大きな池だったんだよ」「うん、知ってます」




やりたいな、でもできるかなあ




池がなくなり、裏手の守り神もいささか手持ちぶさた
窓の桟が美しい。大正ロマンの匂いがする




洋館跡。フランク・ロイド・ライト風の門柱から往時の面影を偲ぶしかない




子供はあっというまに成長してしまう。もう乗らなくなった小さな自転車




早咲きの梅。ぷっくりしたつぼみがかわいいと思う




このあたり、レンガ造りの住宅が多い
こんな豪邸ばかりが続く。さすがビバリーヒルズと呼ばれる所以




3軒長屋の表札がHMA。各戸の表札はそれぞれの名前の頭文字だけ。おしゃれ




なんの意味だかわからない。でも考えてみれば、世の中にある面白いことって、意味のわからないことばかりじゃない?
好きな画家、佐伯祐三のアトリエ記念館がやっと完成。右の三角屋根がアトリエ




聖母病院。尖端恐怖症という病がある。私はカミさんが怖い
上智大学聖母目白キャンパス。目白通り沿いにはキリスト教会が多い




漫画家の梁山泊といわれたトキワ荘のありし日
赤塚不二夫が暮らした紫雲荘の部屋



紫雲荘の現在の住人、桐木憲一さんの大ヒット漫画は、写ガールが主人公だって。一気にファンになった
今は日本加除出版社の敷地の一角にある。伝説はここから始まった




トキワ荘の話、商店街の話、いろいろ熱く語ってくれた、くだもの屋のご主人。隣の顔とソックリ


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