ロジストの路地街めぐり

路地にうごめく森羅万象に寄り添ってみたい。

残暑「哲学」申し上げます (2014.9)

その公園は、妙正寺川をはさんで南北に広がっています。西武新宿線と都営大江戸線の最寄り駅から、いずれも徒歩10分くらいなので、それほど不便ではありません。車でなら新青梅街道を入ってすぐ。便利といえば便利なくらいです。

なのに、園内を歩いている人はまばらです。セミがうるさいほど鳴いているので、聴覚的には静寂というにはほど遠いですが、視覚的には静寂です。暑いですが、実に静寂です。

要するに、それほど人気のある公園ではないということ。もしかしたら、公園の名前が人を遠ざけているのかもしれません。「考える人」を養成するための修行道場として造られた公園ですから、さすがに、癒しを求めて来るには不向きなのでしょう。

この公園を造った人は、井上円了。東洋大学の創設者です。迷信を打破しようとして妖怪根絶をめざした妖怪博士として、その世界では有名人です。水木しげる以上かもしれません。「こっくりさん」現象を科学的に解明した人としても知られています。

ついでに、円了の受け売りですが、形のあるものも、ないものも、万物はみな妖怪だそうです。例えば、人魂や狐火は物理的妖怪、幽霊や憑霊は心理的妖怪ですが、最も怖いのが、利欲や怨念のために人間が作り上げた妖怪(人為的妖怪)です。人に及ぼす危害は、他の妖怪と比べれば甚大かつ陰湿です。

しかし、この公園は妖怪公園ではありません。妖怪公園なら、もっと人気があるかもしれませんが、あくまでも、「考える人」を養成するための修行道場として造られた公園なのです。

ここまで言えばわかるでしょう、この公園の名前。そう、哲学堂公園です。妙正寺川への崖線を利用した起伏に富んだ形状です。ちょっと目では、それほど特異な感じはしませんが、園内には様々な建築物や碑が配置され、哲学的な名称がつけられています。

入口右の門柱(哲学関)には、「これより境内に進むことにより、哲学的に宇宙の真理を味わい、かつ、人生の妙趣を楽しむ所であることを標示している」とありますから、のっけから、身が引き締まります。物質界の象徴である烏天狗と精神界の象徴である女の幽霊の像を奉った「哲理門」をくぐると、その先には、時間と空間を表現した「時空岡」という広場があります。広場の周囲には、六賢台(聖徳太子、菅原道真、壮士、朱子、竜樹、迦毘羅(かびら)の六賢人を奉る)、四聖堂(釈迦・孔子・カント・ソクラテスの4哲人を奉る)、宇宙館(講堂)、絶対城(図書館)があります。なんで小難しい名前をつけるんだろう。素直じゃない、この時点で少し反発の気持ちが生まれました。裏門の近くには、「常識門」「髑髏庵」「鬼神窟」があり、やり過ぎじゃない?の気持ちになります。東側の端には、理想橋という小橋があります。コンクリ製で二歩で渡れる味気ない橋なのに、「理想の彼岸に達する橋としてこの名がある」の能書きに思わず嘲笑。

広場から崖を降りると、「数理江」(本名、妙正寺川)に沿って「唯物園」「唯心庭」という哲学らしい場所がありますが、そこに至る道には、「往こうか唯物、返ろうか唯心、此処が思案の懐疑巷」という辻板があり、笑えます。その他、あちこちに、哲学的解説が書かれた案内板があります。なければ、通り過ぎてしまうほど変哲のない場所ばかりです。普通なら1時間足らずで一回りできますが、じっくりと案内板を見て、考える人になりきって歩けば3時間は楽しめます。

夏の間、ナマった心身を鍛えなおす場所としておススメです。あなたも哲学トリップをしてみませんか。

rojist





カント曰く「私は哲学することは教えられるけど、哲学は教えられない」。考え方は教えられるけど、やり方は教えられない、ということだろう。世の中、おしなべて、そういうもの。人間の器は、苦労しただけ大きくなる。今日、1つめの哲学




哲理門を通って、いよいよ哲学する人を体験する。寺社仏閣に入るより緊張するから愉快だ




哲理門の左に幽霊像。暗いし、網目が小さくて。せめて明るく笑ってよ(もっと怖いか)




哲理門の右に烏天狗。天狗は物質界、幽霊は精神界にある不可思議の象徴を表しているという




哲理門を通ると、時空岡という大空間に入る。この広さに、虚をつかれて、かえって、どぎまぎしてしまう。広いことは実は居心地の悪いことなんだ。今日、2つめの哲学




聖徳太子・菅原道真・壮士・朱子・竜樹・迦毘羅の六賢人を奉る台。「賢人は歴史や書物から学び、愚人は経験から学ぶ」。二日酔い、結婚、肥満・・・、経験で学ぶほうが人間らしい




道教・儒教・仏教を奉る三学亭。三道はいずれも中国の長久の歴史に育まれてきた。しかし、今の中国はこれらすべてを捨てて、拝金の神のみを奉るようになった




「現実の三角形は破壊できるが、イデア界の三角形は存在し続ける」とプラトンは言う。でも、私は見たもの、触ったものしか信じない。今日、3つめの哲学




幽霊梅。いると思えばいる、いないと思えばいない、それが幽霊。神も仏も同じ。信じるも信じないもあなた次第




「宇宙館」の壁にセコムのシール発見。哲学をもってしても、泥棒は防げない?今日、4つめの哲学




経済は理の内にあるが、相場は理の外にある。今年、政府は、年金資金を理の外に放り出した。誰も責任を取ることはない




「理想の彼岸に達する橋」だという。どうみても、安普請のコンクリ橋。世の中、現実から乖離している文字が多すぎる。これ今日、5つめの哲学




絶対城(図書館)の脇に子供の像。かわいい?怖い?。子供はかわいくて、怖いという両面性をもつ。表裏一体とはよく言ったもの。物事の一面だけ見てはいけない。今日、6つめの哲学




脱皮する木があるという。人間は何度でも脱皮できるのに、私は今まで何回脱皮できただろうか。これから頑張ることにしよう




苔景の 中に我在り 哲学堂 (rojist)




働きづめに見える蟻も、よく働くのは2割、働かないのも2割いる。働かない2割を取り除いても、新たに働かない2割ができる。働かない2割を叱咤して仕事をさせるよりも、仕事以外の任務を与えるのもリーダーの仕事かもしれない




釈迦・孔子・カント・ソクラテスを奉る四聖堂。釈迦は宗教家でなく哲学者であることに同意。その心は、「色即是空、空即是色」。すべては空から生まれることを再認識。今日、7つめの哲学




室内にいて熱中症になるペットが多いらしい。それにしても、これだけ無防備になれるのは羨ましい




「世間の多元的見解と、哲学の一元的見解の境界」らしい。なんのこと?




経験坂。「階段は経験を表す」という。長い階段、険しい階段はもちろん、階段そのものを避けて通りたいのが人情。降りるだけなら堕落あるのみ。これからは心して階段を上ろう。今日、8つめの哲学




経験坂の途中にある感覚らん。「経験のためには、耳目の感覚によらねばならない」とある。五感六感をフルに活用するほうが、豊かな経験ができると理解した。今日、9つめの哲学




三祖苑。中国と印度とギリシャの人らしい。三祖、四聖、六賢。数合わせのために、洩れて埋もれてしまった人も多い。選ぶ人によっても顔ぶれが違うからまぎらわしい。でも自分で選ぶ力はない




神秘洞。「進化の根元は神秘」らしい。神秘の根元は?言葉遊びはきりがない




座禅のとき叩く棒は、文殊菩薩の手の代わりだという。だから体罰にはならない?




狸燈。「人間の心情には狸に類する霊性を発することがある」という。狸の霊性のせいで、腹がでてきたのかな




独断峡。歴史は独断と懐疑を繰り返してきたが、物事は独断が過ぎても、懐疑が過ぎても進まないことが多い。でも、うまくいかないからこそ、改革改善が生まれる。今日、10こめの哲学




理性(島)に達する道程には、概念(橋)が存する」。橋を渡ってみたけれど、まったく理性が働いた感じがしない




鬼燈。人の心には鬼も仏も棲む。怠、恨、妬、驕、淫、憎・・。笑顔でいればみんな消えてしまうかもよ




主観亭で、心界の風光を観察したら、多重露光、多層世界、多重人格、わけがわからない。やっぱり単純がいい




最近は、梅雨が明ける前から赤とんぼが飛ぶ。生物みんな季節感が狂っている。誰のせいだ




外見が派手なわりに、池の端に隠れてそっと咲いていた。派手は表にでて、地味は奥に引っ込むというのが相場なのに。この景色に少し意識が混乱する。この公園にいると、考えすぎてしまう




唯心庭から論理域への道。近道をしたいなら急坂の直覚径、落ち着いて登るなら緩坂の認識路を行けばいい。わかります?




哲学堂の崖下を流れる妙正寺川も、哲学界では「数里江」と呼ばれる。難しい名前になっても、ゲリラ豪雨にはからきし弱い




「行けば唯物、戻れば唯心、ここが思案の懐疑巷」。見えないより見えるが重要と考える唯物者もいれば、見えるより見えないが重要と考える唯心者もいる。そうだろうか、実際は、見えるも見えないも重要だと思う。今日、11こめの哲学




もし宗教の祖たちが円卓会議をしたら・・・。どんな話になるか面白い。その前に話が噛み合えばの話だが




ガンジーは言う「自分の持ち物を減らしていくにつれて、幸せと自由が増えてくる」。年寄りの欲張りほど醜いものはない



関連記事
スポンサーサイト
  1. 2014/09/12(金) 09:05:35|
  2. 中野区
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<離宮秋桜 (2014.9) | ホーム | ひまわり畑の真ん中で「平和」を叫ぶ (2014.9)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://rojist.blog.fc2.com/tb.php/143-d1daa833
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Rojist

rojist

Author:rojist
東京生まれ東京育ちなのに、知らない東京ばかり。ヒマだし、カメラ買ったし、ボチボチぶらぶら散歩してみようかな。気が向いたときに。

最新記事

月別アーカイブ

リンク

このブログをリンクに追加する

検索フォーム

RSSリンクの表示

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

最新コメント

QRコード

QR

カテゴリ

一枚の物語 (0)
最新ランキングはこちら (1)
路地ランキングについて (1)
日々のこと (16)
千代田区 (8)
中央区 (12)
港区 (11)
品川区 (5)
目黒区 (2)
渋谷区 (14)
新宿区 (19)
中野区 (13)
文京区 (9)
荒川区 (5)
豊島区 (7)
江東区 (1)
台東区 (8)
墨田区 (5)
大田区 (2)
世田谷区 (5)
杉並区 (12)
練馬区 (1)
板橋区 (2)
北区 (5)
足立区 (1)
葛飾区 (0)
江戸川区 (1)
都下、その他 (49)
未分類 (2)

最新トラックバック

フリーエリア

にほんブログ村 写真ブログ 東京風景写真へ にほんブログ村 写真ブログ スナップ写真へ